ほどかれる波、境界、あわい
国内コンテンポラリーダンスシーンを牽引する若手ダンサー、小暮香帆。華奢な体つきと淑やかな存在感から繰り広げられるダンスは、ある時はそよ風が吹く草原のようにしなやか、またある時は知的な愛らしさが滲み出し、かと思えばこちらがはっとなるような強靭さがあらわになったりと、実に自在。昨年活動10周年の節目を迎え、益々の活躍が期待される小暮のロングインタビュー。
スターダンサー現る
『The Artists-バレエの輝き-』公演のために来日した、ニューヨーク・シティ・バレエのプリンシパル、タイラー・ペック。強靭なテクニックと陽性のオーラをあわせ持つ彼女がこのたび、「現代生活のための衣服(Clothing For Contemporary Life)」の頭文字をブランド名に据えた「CFCL」のプロジェクトとコラボレートした。タイラーにはカメラの前で彼女自身を自由に表現してもらうとともに、インタビューを通してキャラクターについて語ってもらった。
16年にわたり、ノルウェー国立バレエ団にてプリンシパル(最高位のダンサー)として踊り続けた西野麻衣子。“バレリーナ”のイメージをよい意味で覆す、パワフルかつユニークな個性を持つ彼女の根底には、自分を愛し、認め、誇りに思う気持ちが流れている。それは今をたくましく生き抜くために、西野が私たちに伝えたいメッセージだ。現在はバレエ団を引退し、フリーのダンサーとして活動の幅を広げている彼女に、「生きる」上で大切にしている想いを聞いた。
あなたは美しい
日本におけるダンス(芸能)の起源は 『天岩戸神話(古事記、日本書紀)』に登場する“天鈿女命(アメノウズメノミコト)様の舞”とされ、能や歌舞伎が生まれる遥か昔、神々によって天と地が開かれ、徐々に日本の国土が形作られようとした時代に遡る。
戦争、パンデミック、地球温暖化、災害など、多くの困難に見舞われる現代に、古きものの中から未来へ繋ぐアイディアを探そうとする今、身体に向き合い、取り巻く空間に鋭く反応するダンサーの感覚を手がかりに、かつての日本の自然環境から生まれる独特な感性に触れ、これからの多様な社会を乗り越えるヒントを探してみたい。
暗闇の世界のひらきかた
ハンブルク・バレエのプリンシパル、アレクサンドル・リアブコ。ウクライナに生まれ、キーウ・バレエ学校で学んだリアブコは、故郷がロシアに侵攻され家族が必死に避難生活を送り国外脱出を図る中、勅使川原とのコラボレーション『オルフェオとエウリディーチェ』に出演するために来日。最終舞台稽古の上演後、作品のテーマである「愛」、そしてパンデミックと戦禍の世の中で芸術が果たす役割について語ってもらった。
混沌の世界を、共に生き抜く
2014年、17歳の時にローザンヌ国際バレエコンクールで優勝し、センセーションを呼んだダンサー、二山治雄。パリ・オペラ座バレエの契約団員として2020年まで活動した後に帰国し、現在は国内で精力的に活動を行っている。元バレエダンサーという経歴を持つファッションデザイナー幾左田千佳は、二山の磨き抜かれたアンドロギュヌスな美しさに魅せられた。今回、彼女のアイディアで彼女のデザインしたドレスをまとった二山とフォトセッションとロングインタビューが実現。人種もジェンダーも超越したダンスの申し子二山治雄、幾左田千佳の美神となった彼の表現の秘密に迫った。
溶ける境界線
東京オリンピックの開会式で踊り、さまざまな異業種とコラボレーションを行い、活動の幅を広げている舞踏家・石井則仁(山海塾所属)。今年は「コロナで疲れたこころ、アートで埋めませんか?」のテーマでクラウドファンディングに挑戦し、達成率300%という大成功を収めた。
ビジネス書を読み、大胆な挑戦を恐れない石井則仁の公式サイトを見ると、トップに「アーティストステイトメント」という芸術家としての決意表明文が掲載されており、表現することに対する情熱と思慮深さが感じられる。このようなステイトメントをサイトのトップに掲載する石井則仁はどんな人なのだろう?と、興味を惹かれ...
知性で未来をこじ開けろ