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© 2018 by Alexandre Magazine

Issue 004 NDT 髙浦幸乃 刈谷円香 飯田利奈子

驚異のクリエイティブスピリット

COSTUME PROVIDED BY KISHIDAMIKI


現代を牽引する、世界最高峰のコンテンポラリー・バレエ団、オランダのネザーランド・ダンス・シアター(NDT)が13年ぶりに来日公演を果たし、現在公演中である。才能豊かな気鋭振付家たちと世界中から集まった選りすぐりのダンサーたちによる共同制作によって、年間10あまりの新作バレエを発表しているカンパニーだ。

極限まで鍛え抜かれた身体と、幅広いレパートリーを踊りこなす高い表現力を持つNDTのダンサーたち。世界中から集まる28人の精鋭の中には、3人の日本人ダンサー、髙浦幸乃、刈谷円香、飯田利奈子がいる。Alexandreでは、20代半ばと踊り盛りの、才能あふれるこの3人とのフォトセッションを行い、輝きを放つ彼女たちの研ぎ澄まされたムーヴメントをカメラに捉えた。

 

愛知県芸術劇場での公演を終え、横浜へ移動した翌日の、オフの一日。移動の疲れも見せずに朝早くからの撮影。新作のクリエーションに参加することも多いNDTのダンサーらしく、彼女たちはそれぞれに自由でスタイリッシュでパワフルな動きを作り上げ、ファインダーの中で光り輝いていた。観たことがないような動きを作り上げて身体の可能性の限界に挑戦するのが楽しくて仕方ない様子だった。

現代バレエにおいてはもっとも著名で最先端のカンパニーであるNDT。彼女たちをそこへと導いたものは何だったのだろうか。

幅広い表現の可能性があるコンテンポラリーダンスの世界をもっと見てみたい、とNDTに飛び込む

 

刈谷円香 「ドイツのパルッカシューレに留学した時にクラスメイトのほぼ全員がNDTのファンで、私もビデオでNDTの舞台や作品をたくさん観てファンになりました。その頃からNDTはずっと憧れのカンパニーでした。学校卒業公演でイリ・キリアンの作品を踊る機会を頂いて、指導に来られていた元NDTのダンサーの方にNDT2 のオーディションをするように勧められましたが、その時点ではチューリッヒ・バレエ団のジュニアカンパニーの仕事が決まっていたので卒業後はチューリッヒへ行きました。でも実は在学中のオーディションシーズンではまだNDTへのオーディションをする自信がなかったのです。2年間チューリッヒで古典作品とコンテンポラリー作品の両方を経験した結果、もっとコンテやクリエーションをやってみたい、そして今こそ最後のチャンス!と思いNDT2 のオーディションを受けました。当時はチューリッヒ・バレエ団の芸術監督のクリスチャン・シュプックにも、“円香はNDTのほうがキャリアとしても高く跳んで行けると思う”と後押しして頂きました」

MADOKA:POSTELEGANT

髙浦幸乃 「ドイツのハンブルク・バレエ学校時代、クラスメイトに多くのNDTファンがいて、それがNDTに興味を持つきっかけとなりました。ハンブルクのジュニアバレエ団(ナショナル・ユース・バレエ)に在籍していたときに、元NDTダンサーの振付家ナタリア・ホレツナの新作に携わりました。幅広い表現の可能性があるコンテンポラリーダンスの世界をもっと見てみたい、NDTの世界に飛び込んでみたいと思うようになりました」

YUKINO:liroto

飯田利奈子 「私は神戸にある神戸女学院大学舞踊専攻に通っていたのですが、その時に大学教授である島崎徹先生にヨーロッパにあるNDTというカンパニーが凄いと聞き、その時にNDTというカンパニーがあることを知りました。卒業後は新潟のレジデンシャルカンパニーであるNoism2に入団し、退団後海外に挑戦してみようと思いヨーロッパにオーディション巡りに行きました。もちろんNDTは憧れのカンパニーですし入団したいという気持ちはありました。ですが本当に入団したいと思ったきっかけは、オランダでNDTのクラスを受けてリハーサルを見たときです。一人一人のレベルの高さ、そして一人一人に個性もある。瞬きを忘れるかのように食いついてリハーサルを見ていたのを覚えています。その時に、ここのカンパニーの一員になり自分も踊りたいと心から強く思いました」

RINAKO:Motohiro△Tanji

クリエーションを通して、自分も知らなかった自分に出会えたら

今回の撮影でも発揮された彼女たちのクリエイティブ・スピリット。クリエーションの多いカンパニーで、世界有数の振付家と作品を創っていく、そのクリエーションの大変さと楽しさとは。

髙浦 「クリエーションの大変さは。振付家の求めていることを理解し、自分の体でそれを瞬時に表現し、発信していくことです。
NDTでは、ダンサーが振付家のイメージをくみ取り、動きを自分達で作っていくというプロセスがよく行われます。できるだけ頭と体を柔軟に保ち、振付家の求めていることを、その場で提供できるかが大切になってきます。神経と体を研ぎ澄まして、クリエーションに臨むのですが、何週間にも渡ってその状態を保つのは、すこし大変です。
クリエーションの楽しさは、自分から発信したものが振付家のイメージとあって、ダンサーと振付家のコラボレーションのように、創作が進んでいくところです。
イメージをくみ取り、提案したものが、振付家の求めているものだったときは、とても嬉しいです。また、クリエーションを通して、自分も知らなかった自分に出会えたときはとても嬉しいです。今までしたことのない体の動かし方や、感覚、表現を振付家と共に探っていく作業は、初めは抵抗があり躊躇もありますが、見つけられたときは、とても楽しいです」

刈谷 「いろんな振付家の方とクリエーションをするので、時にはスムーズにでき上がってゆくこともあれば、時には何度も作り直し時間を掛けて創ったものもボツになることもあります。しかしその大変な時期を乗り越えた後の結果には、いつも愛おしい感覚を覚えます。私はクリエーション中、スタジオで振付家とダンサーとの間に起こる化学反応のような感覚が大好きです。振付家からの案にダンサーがこう答えてみる、それを振付家が調理するように味付けをしてゆく。ダンサーはどうやって動いてみたらより良くなるか試してみる。そういったスタジオでのリサーチの時間が大変でもありながらとても楽しい時間でもあります」

飯田 「私はまだ今シーズン入団したばかりなので、クリエーションに多くは参加していませんが、今、来シーズンに向けたクリエーションをポール(・ライトフット)としています。
彼のクリエーションの早さ、そして要求するものが高いのでその要求を迅速に対応することで今は精一杯です。でも、彼と一からクリエーションし、音に当てはめていく、この作業がパズルをはめていくような感覚でとても楽しいです。

そのクリエイティブなスピリットは、自らの作品を創作するというところまで伸びて行きそうである。今回の来日公演で「The Statement」が上演される、パリ・オペラ座バレエ団や英国ロイヤル・バレエにも作品を提供している人気女性振付家、クリスタル・パイトも元々は、若くしてNDT1で創作を開始した。NDT出身のコレオグラファーは枚挙に暇がない。

刈谷 「だいぶ前ですが私も作品を創ってみたことはあります。今のところは振付家としての創作活動よりはダンサーとしてクリエーションに参加すること、もしくは振付家のアシスタントをすることの方が好きです。しかし将来どう私の感覚が変わるか分からないので可能性がないとは言わないでおきます(笑)。

そして昔からファッションや写真、建築に興味があり、最近はファッションやフォトグラファーとのコラボレーションでダンサーとして自分が被写体になったり、撮影時にモデルの動きや構成を作ったりするのも好きです。アートとしてファッションを見た時にそれを身に付けている体が動くことによって現れるマテリアルの動きや形、さらにその体がいる空間との関係性のような物に魅力を感じます。具体的にどういった形の創作活動になるか分かりませんが、いつかこういう分野でもクリエイティブに活動してみたいです」


 「今までに数作、作品作りを行いました。振付期間は心と身体から、何かを絞り出す感覚になります。最近は振付から離れていますが、何か試してみたいアイデアなどが浮かべば、恐れずに試してみたいと思っています」

飯田 「今後、自分の作品も創作してみたいと考えていますが、まず今の私にはもっと多くの振付家の作品に触れ、学ぶことが大事だと考えています」

刈谷と高浦はドイツのバレエ学校で学び、別のバレエ団でキャリアを開始し、若手団員で構成されるNDT2を経てメーンカンパニーのNDT1に入団した。この二つのカンパニーの違いについて話してもらった。

刈谷 「NDT2 は年齢が17歳から25歳あたりまでのダンサーのみで、基本3年間所属のプログラムのため、毎年メンバーの1/3程の人数が入れ替わります。 毎年グループ全体のダイナミックや雰囲気は変わりますがNDT2での3年間はとにかく濃かったです。一緒に沢山踊り、フリータイムも一緒過ごしたので特に同期のメンバーは今でも大切な友達です。NDT1は人数もNDT2 に比べると多いのと年齢の層もさまざまなことが魅力です。私は先輩ダンサーや年下のダンサーから体の使い方、仕事やライフスタイルに対する思いなどを見て聞いてとてもインスパイアされています。NDT2の舞台を観ていると若さがキラキラと伝わってきて、NDT1 の舞台を観ていると大人っぽい表現も伝わってくるので、両方違って両方良いと思います」

髙浦  「NDT2は、とにかく若くて、エネルギッシュで、挑戦的です。ダンサーも18人と少なく、ひとつの大きな家族のような感覚でした。
NDT1は、経験を積んだLess is more の表現ができるグループだなと、感じます。
それぞれの違ったバックグラウンドや生活があるダンサーが集まっています。お互いの考え方や個性や尊重し、違いを受け入れてステージ上では1つになれるグループだと思います」

一方で、飯田は神戸女学院大学舞踊専攻から、元NDT2の振付家/舞踊家である金森穣率いるNoism1のセカンドカンパニー、Noism2で踊り、初めての海外カンパニー経験がNDT1という、やや異色の経歴の持ち主である。

 

飯田 「NDTもNoismも若いカンパニー、プロカンパニーと2つのチームを持っていることは共通しています。どちらのカンパニーも年齢に関係なく全員のダンスレベルが高い。そして私がいたNoism2での2年間の経験を今NDT1で活かしていることが沢山あります。年齢に関係なく、みんな一人一人がプロ意識を持っている部分はとても共通点を感じました」

どんなスタイルの作品でも幅広くこなしてしまうスーパーダンサー、それがNDTダンサー

NDTのダンサーは世界中から集まっており、バックグラウンドも多様だ。このカンパニーにはどのようなものが求められているのだろうか。そしてどんな同僚たちと仕事をしているのだろうか。

刈谷 「様々な文化やバックグラウンドのダンサーたちが集まるNDTですが、みんな身体能力が高いのと吸収力が高い人が多いと思います。どんなスタイルの作品でも幅広くこなしてしまうスーパーダンサーが多いです。そしてみんなフレンドリー!」

髙浦 「NDTのダンサーに共通することは、皆自分の踊り、作品に情熱的で真面目で真剣に向かい合っていることです。それぞれに感じることや考えも違うなかで、ぶつかることもありますが、最終的には皆ベストなパフォーマンスをしたいという共通のゴールで出会います。
そして、踊りと毎日の生活を楽しむということを大切にしている人が多いです。」

飯田「やはり皆さん、色んなカンパニーで経験を積まれてからNDTに入団されている方が多いです。バレエ学校に行き、若い時からプロになり踊っている人がとても多い。私はその経験がなくNDTに入団したので、新しいシーズンの初日はとても不安でしたが、カンパニーのメンバーはすごく皆さん優しく私を迎え入れてくれて、本当に毎日が幸せです」

どんどん自分に挑戦していこう!という思いでなんでも流れに乗ってチャレンジしたい

26~27歳とまだ若い3人。しなやかな身体と感性を持つ彼女たちが今後どのように育っていくのか、今後がとても楽しみだ。

飯田 「私はまだまだ学ぶ側にいて、他のカンパニーメンバーと比べると本当に経験が浅いです。なので、今後はもっともっと色んな芸術を観て、色んな振付家と仕事をし、沢山の引き出しをもつダンサーになりたいと思っています」

刈谷 「今後はアーティストとして演劇性の高い作品や、さらに対極的な身体的な動きのみの作品など幅広くクリエーションに参加して自分の引き出しをさらに増やして行きたいです。今まではこのような作品を踊っていてもどこか冒険しきれていなかった部分を感じます。もちろんその時のベストを尽くしていたわけですが、これからはナイーブで不安に思っていたことは置いておいて、どんどん自分に挑戦していこう!という思いでなんでも流れに乗って挑戦して行きたいです」

髙浦 「変化し続けていくダンサーになりたいです。いまの状態に満足せず、興味のあることや楽しいと思えることに目を向けて、たくさんの経験をして、奥の深い柔軟なダンサーになりたいです」

 



世界最高峰のコンテンポラリー・バレエカンパニーで、日夜その芸術性と身体性を磨き続けている浦幸乃、刈谷円香、飯田利奈子の3人。彼女たち、そしてNDTが生み出す、至高のダンスをぜひ横浜で目撃してほしい。

PHOTOGRAPHER: Yumiko Inoue at Alexandre

STYLIST: Sumire Hayakawa at KiKi

HAIR: TAKESHI at Sept

MAKE UP: Yuka Hirata at D-CORD

INTERVIEWER: Naomi Mori

​COSTUME PROVIDED BYPOSTELEGANT

                                   liroto

                                   Motohiro Tanji 

                                   KISHIDAMIKI

髙浦幸乃(たかうら ゆきの)

和歌山県出身。RGBレイグランバレエにてバレエを始める。2009年ローザンヌ国際バレエコンクール/スイス本選出場。
同年、ドイツ・ハンブルクバレエ学校へ入学。卒業後2011年よりジョン・ノイマイヤー率いるドイツ・ナショナルユースバレエ団へ入団。
2013年ネザーランドダンスシアター2へ入団し、2015年よりネザーランドダンスシアター1で活動中。

刈谷 円香(かりや まどか) 

仙台市出身。5 歳からエトワールバレエ館にてクラシックバレエをはじめる。ユース・アメリカ・グランプリニューヨーク決戦(2009 年)にてシニアの部、銀賞、スカラシップ受賞。英国ロイヤルバレエスクールサマーセミナー審査員特別スカラシップ賞などを多数受賞。

09 年秋よりドイツのパルッカ・シューレ(Palucca Hochschule für Tanz Dresden)へ留学、12 年の卒業とともにバッチェラーオブアートを取得。12 年から 14 年にかけてスイスのチューリッヒ・バレエ団ジュニアバレエに所属し、ダグラス・リーやシュテファン・トス、クリスティアン・シュプック等の作品を踊る。14 年から 17 年にかけてオランダのネザーランドダンスシアター2 (NDT2)に所属後、 17 年夏からネザーランドダンスシアター1 (NDT1)に移籍。現在に至るまで、専任振付家のソル・レオンや、ポール・ライト・フット、オハッド・ナハリンのなど世界各国の振り付け家の作品を踊る。

飯田利奈子(いいだ りなこ)

6歳から岡本博雄バレエスクールでバレエを始める。
2010年より神戸女学院音楽学部 舞踊専攻にて島崎徹、Jan Nuyts、Graham Mckelvieに師事。
在学中に、コンテンポラ リーダンス、モダンダンスを学ぶ。
2014年より新潟レジデンシャルダンスカンパニー Noism2に所属。
2018年より、オランダのNetherlands Dance Theater1に所属。

公演情報

神奈川公演
会場:神奈川県民ホール 大ホール
日時:2019年7月5日(金)19:00、7月6日(土)14:00 
※開場は開演の30分前


■料金 <全席指定・税込>
料金: S席 12,000円 A席 9,000円(U25 4,500円) B席 6,000円(U25 3,000円)
C席 4,000円(U25 2,500円)

*U25は公演日に25歳以下対象(要証明書)
*車椅子席は神奈川芸術協会にて取扱い
*4歳以下のお子さまはご入場できません。
*開演後のご入場はお待ちいただく場合があります。また、開演後は自席にご案内できない場合があります。
*やむを得ない事情により内容、出演者が変更になる場合があります。

■チケット取扱
神奈川芸術協会 045-453-5080 http://geikyo.pia.jp/event.do?eventCd=1860018
チケットかながわ 0570-015-415(10:00~18:00)https://www.kanagawa-arts.or.jp/tc/detail?id=35848#.XMcTDYpcW-o
イープラス https://eplus.jp/sf/word/0000001670
チケットぴあ [Pコード:491-578] 0570-02-9999 https://t.pia.jp/pia/ticketInformation.do?eventCd=1860018&rlsCd=001&lotRlsCd=
チケットぴあ店舗 セブン-イレブン ※購入方法により、チケット代金のほかに手数料が必要になる場合があります。

■チケットのお問合せ
神奈川芸術協会 TEL 045-453-5080 http://www.kanagawa-geikyo.com/

■公演のお問合せ
NDT横浜実行委員会 TEL アンクリエイティブ 03-6712-6973(平日10:00-17:00)
Email: info@taci.dance

■会場アクセス
神奈川県民ホール
http://www.kanagawa-kenminhall.com
TEL 045-662-5901(代表)FAX 045-641-3184  〒231-0023 横浜市中区山下町3-1


 

企画制作:愛知県芸術劇場

特別協賛:一般財団法人セガサミー文化芸術財団

協力:オランダ王国大使館

主催:NDT横浜実行委員会
共催:神奈川県民ホール
後援:横浜市教育委員会
制作:NDT横浜実行委員会

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